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【言語聴覚士のコラム】高い音が必要な理由

補聴器装用者の訴えで多いのは「音がキンキンカンカンする」や「声がこもったように聞こえる」など不快な音に関してです。

不快な音であれば音を入れなければよいのではないかと思われますが、補聴器の場合はそうではありません。
ではなぜそのような音が必要なのでしょうか?
まず下の図のピンクの範囲がことばの分布図になります。(スピーチバナナ)

 

https://yahoo.jp/box/2y556W

 

そして「キンキンカンカンする音」は4000Hz~8000Hz付近の高い音、日本語の子音「サ行」や「タ行」の聞き取りに関与すると言われています。

また「声がこもったような音」は250Hz~500Hz付近の低い音、日本語の母音「アイウエオ」に関与すると言われています。

このような音は最初は不快に感じるのですが、日本語の聞き取りにとても重要な役割があります。ですので、気になるからと言ってその音をむやみに下げてしまうと肝心な言葉が聞き取れません。よって補聴器を装用する意味がなくなってしまうのです。

ではなぜそういった音が気になるのか?
それは難聴によって今まで聞こえていなかった音が聞こえてくるからです。
「食器のカチャカチャした音」「ヒールの足音」「エアコンや冷蔵庫から出ている音」…。これらはお耳に問題のない方にも聞こえています。このような音がそこまで気にならないのは、脳が「ことば」よりも「不要な音」と判断して意識しないようにしているからです。

しかし補聴器を開始した段階では、脳がそのような音を「不要な音」としてまだ判断できません。寧ろ「これは何の音…?」と「ことば」よりも気になってしまうこともあります。そのような段階を経て、「あ、これは足音か!」など音源がわかることが安心につながり、危険でないと判断していくことでこのような音が気にならなくなります。

音は怖いものではありません。(大きすぎる音を除いては)
私は音の無い世界の方が怖いと思います。
補聴器を装用することによって皆様からことばだけでなく「鳥の声が聞こえた」「ピアノの音が聞こえた」など嬉しいお声をいただきます。
皆様にはぜひ「聞こえることは楽しい」と感じていただけたらと思います。

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