今回は補聴器の調整において必要な「補聴器装用効果の評価」についてお話します。
まず補聴器の調整は下記の手順で行ないます。
上記手順の中の「評価」にて、補聴器装用により言葉が聞こえやすくなったか補聴器の効果を測ります。しかし現在、補聴器効果の評価として世界的に標準化された方法はありません。そこで日本聴覚医学会では下記の指針を示しております。
補聴器適合検査の指針(2010)
調整した補聴器が難聴者に有効であるかを評価するための検査方法として2つの必須検査項目と6つの参考項目を定めました。今回は2つの必須項目についてお話します。
必須検査項目
(1)語音明瞭度曲線または語音明瞭度の測定
(2)環境騒音の許容を指標とした適合検査
(1)語音明瞭度曲線または語音明瞭度の測定
補聴器装用時にことばをどのくらい聞き取れるかを評価します。会話を聞き取れることが補聴器装用の最大の目的であることから考えて最も重要になります。
(2)環境騒音の許容を指標とした適合検査
通常の生活環境の中で補聴器を持続して装用できるかどうかを評価します。会話の聞き取りが良くなったとしてもその補聴器を実際に装用できなければ意味がありません。そこでこの測定が必要になります。
補聴器は評価と再調整、カウンセリングを繰り返して補聴器による聞こえを徐々に獲得していきます。ですので(ご本人の言葉の聞き取り能力を考慮した上で)十分な補聴効果を得るためには「評価」がとても重要な役割をします。
みなさん、補聴器の効果が実際どのくらいあるか調べたことはありますか?
評価をして適切な調整を行なわなければ補聴器の効果は十分に発揮されません。それでは高価である補聴器を購入した意味がありませんよね。
「補聴器を付けても言葉の聞き取りにくさが変わらない」という方は一度効果を測定してもらいましょう。
※ご本人の言葉の聞き取り能力や補聴器の性能などによって補聴器の効果は個人差があります。そのため適切な調整をしても十分な補聴効果を得ることに限界がある場合があります。