いつも当店のブログをご覧いただきありがとうございます。今回は、フォナックの最新モデル「オーデオスフィア インフィニオ」を実際ご購入いただいた装用者様から貴重なレビューをいただきましたのでご紹介致します。(以下オーデオスフィア)
当記事は個人の感想でありすべての方に同様の効果を保証するものではありません。補聴器は個々の「聞こえ」の程度に合わせて調整(フィッティング)することが必要です。補聴器は適切なフィッティング調整により、その効果が発揮されます。装用者の聞こえの状態によっては、その効果が異なります。
オーデオスフィアの革新的な変更点
12月16日に発売されたオーデオスフィアは、デュアルチップ構成となっています。補聴器の中には、音声処理やBluetooth接続・各種補聴器の動作を司るチップというものが搭載されておりここが補聴器の心臓部。各社このチップの開発にしのぎを削っています。オーデオスフィアは、補聴器の通常動作用に新設計した「ERA(エラ)」という心臓部を持ち、さらに音声とノイズを分離して処理を行う「DEEPSONIC」というチップを追加で搭載しています。パソコンで言えばメインのCPU(コアi7とか)と映像処理用のグラフィックボード(RTX3080など)をイメージするとわかりやすいかも。
今までの補聴器は騒がしい環境では、言葉にノイズが重なり非常に聞き取りずらい状況でした。スフィアは、騒がしい環境下において新開発DEEPSONICが言葉とノイズを分離し「ノイズを除去」します。従来の補聴器は、ノイズと判断されたものを一定量抑制することで言葉の明瞭性を確保していましたが、今回のスフィアはノイズの除去を行っています。
こちらのサイトでスフィアのノイズキャンセルを体験できます
全モデル防水防塵
オーデオスフィアは、全モデルがIP68を超える防水性能を有しており、メーカーはこれをウオーターブロックと呼んでいます。ルミティシリーズでは、オーデオルミティ-ライフという形式の補聴器がこのウオーターブロックを実装しておりました。
急に降り出した雨はもちろん、プール・お風呂でも補聴器をご利用いただけます。(サウナ不可、プールの際紛失にご注意ください。)
実施した個別試験の数
135項目
試験に費やした時間の合計
10,000時間
※2024年12月4日 メーカー発表会資料より
新しい聞こえの可能性を解き放つ
スフィアは補聴器の本体が正直大きいです。なぜなのか?リサウンドは更なる補聴器の小型化を行っているのに時代へ逆行していないか?それは、スフィアではフォナックがやりたかったことを全て投入した結果、大型なバッテリーを搭載する必要があったからです。
新しい聞こえの可能性を解き放つ
3年分蓄積されたの音声データ
2,200万の収録済み音サンプル
1秒間に77億回の演算処理
450万個のニューラルコネクション
異次元を切り拓くようなもの
フォナック独自テクノロジー
現在iPhoneは標準モデルで6.1インチ、過去には5.4インチのiPhone13miniがありましたがバッテリーの持ちや作業性の悪さで不人気モデルとなり14で廃止されています。スマートフォンもその性能の進化に伴いディスプレイやバッテリーが大型化していきました。でもiPhone16を手に取ってみるとそれほど大きくは感じずいたって普通のサイズに感じます。補聴器も今後サイズが大きくなるが性能をフルに発揮できるラインナップが出てくるのでは?スフィアを手にとったときそんな妄想を抱きました。
オーデオ I90 スフィアをご購入いただいたお客様
前置きが長くなりましたが、今回フォナック オーデオ スフィア インフィニオのレビューをいただくのは、今回補聴器のお買い換え2回目、過去フォナック オーデオマーベルシリーズをご利用だったS様です。
〇S様 40代後半
〇オフィス勤務
〇使用中補聴器 フォナック オーデオM50-R
〇比較試聴した補聴器 リサウンド・ネクシア7、フォナック オーデオL70、オーティコン リアル1・インテント1、シグニア 5IX
補聴器を着けた時と外した時の比較、音の聞こえ始めを測定しています。
いつも当店をご利用いただきありがとうございます。この度はフォナックの最新モデル「I90 スフィア」をご購入いただきありがとうございます。ご試聴期間は約2週間、この間にお感じになったことを教えていただけますか?
高性能な補聴器をご紹介いただきありがとうございます。
今使用している同社(フォナック)のオーデオM50だとマスク越しの声が聞き取りにくいことが多々ありましたが、今回のスフィアを試聴している間はかなりクリアに聞こえました。
I90 スフィアを装用して感じたこと
I90スフィアを試聴する前、AIを搭載していないルミティ(L70)も試聴した時、音・声の2重感?響き?残響のようなものがあり聞き取りにくかったのですが、I90スフィアは声がリアルに聞こえることが多く、コミュニケーションが円滑になりました。
それは大変うれしい言葉をありがとうございます。
I90スフィアのみフォナックのスマートスピーチテクノロジーの1つ、スピーチエーハンサーという言葉の強調機能が入っており、L70には搭載していない、ここが大きなポイントかもしれません。
また、L70からの変更点として耳栓の適正化があげらます。耳栓に対し音の調整をAI解析したデータを反映させて初期調整される仕組みになっています。これについては後ほどご紹介致します。音の二重感については、この耳栓と調整の適正化が利いていると思います。
- スピーチセンサー 騒音の中で側方や後方からの会話を聞く力を15%向上させます
- ステレオズーム2.0 目の前の話者に補聴器をフォーカスさせることでことばの理解を向上させます
- ダイナミックノイズキャンセル 騒がしい中で側方や後方からの騒音を抑えます ※
- スピーチエーハンサー 静かな場所での小さな声を増幅します
- モーションセンサーヒアリング センサーが歩いていることを感知すると音を拾う方向を360°に広げます
- ロジャーダイレクト
※I90・L90のみ搭載
なるほど、耳栓の選択により聞こえ方が変わるのですね。耳栓についてはまたあとでお伺いいたします。
オートセンスOSは6.0へ進化
S様が所有されているオーデオM50のデータロギングを拝見致しました。1日大体14時間ほど補聴器を装用されています。オフィスはもちろん、駅などうるさい環境、車の中など様々な場面で補聴器を装用されると思いますが、騒がしい中ではM50と比較していかがでしたでしょうか?
使い始めたときは、自分の発している声が自分で聞きにくいことがありました。M50にも環境認識して自動切換えする機能がありますが、I90の環境認識に自分自身が慣れていなかったためかもしれません。
試聴後半では、そういったことはなくなり騒がしい環境では、自分の聞きたい声と周囲のざわつきが線で別けられている印象があり、対面している方との会話が少し聞き取りやすいと感じました。
なるほど、前半はフォナックのオートセンスOSにあまり慣れていなかった、M50もオートセンスを搭載していますが、バージョンが3.0、I90は6.0になりました。今の音環境を1秒間に700回スキャンしてその場所に適したプログラムを自動選択するようになっています。
オートセンスOSとは
今いる音環境を補聴器が判断し、それに最適なプログラムを選択するフォナック独自のシステムです。マイクの方向(指向性)や雑音抑制のレベルもオートセンスで切り替えしています。インフィニオ スフィアからは、「非常に騒がしい中での全方位の言葉」が追加になりました。
補聴器単体でAIが自己学習しているかどうかはわかりませんが、日を追うごとに聞こえやすくなり、今自分がいる環境に最適化されていると感じました。
オートセンスOSが自己学習しているかどうかは自分もわかりませんのでメーカーの方に聞いておきます。
M50やその前の補聴器で苦労された点は?
M50の調整は、初期のころは出力特性と装用閾値測定から利得調整、中盤は手動で実耳測定、今年に入りREMターゲットマッチという自動調整と補聴器の調整方式をどんどんアップデートしていきました。
M50を使用して苦労した点などありましたら、忖度なしで教えていただけますか?
そうですね。。。
2024年から実耳測定のオートになりましたが、その前は手動で調整してもらうことが多く、わたしから高音を上げてみたらどうなるか、低音を上げてみたらどうなるか、結構リクエスト致しました。
高音(高い周波数)の調整を上げてもらうとサーーという音が強くなり、低音を上げると空調の音が大きくなり、聞き取りが悪くなり低音・高音の上げ下げを何度か行ってもらいました。
I90は、ノイズキャンセルが非常に良く働いているので空調のサーやボーという音は全然きになりませんでした。
それはよかったですねー!今回I90は実耳測定「REMターゲットマッチ」1回行っただけです。
M50の時は、低音を上げると空調がうるさくなり、下げると聞き取りが悪くなってしまう、耳栓の形状変更やプログラムの追加など結構あれこれ実施させていただきましたが、今回のI90は1回の調整で過去お困りだったことが解消できたようでよかったです。これもDEEPSONICの恩恵ですね。
過去、根気よく調整していただいてありがとうございます。
あと、M50と比較しI90は遠くの声が結構聞き取れました。M50では、遠くの声に雑音が混じりあまり良く聞き取れませんでしたが、I90は雑音が除去されてるというか、雑音に邪魔されないようで離れたところからの話が結構聞き取れました。
M50では指向性マイクが働いた時、近くで正面の声は聞き取れますが距離が離れてしまうとほとんど聞き取れない、I90は近くの声・遠くの声の距離感がつかみやすく指向性マイクが働いた(と思われる)場面でも遠くの声が聞こえやすかったです。これも指向性とマイクがうまく絡み合ってと感じました。
なるほど。フォナックの方が聞いたら喜ぶと思います(笑)
僕が過去、新幹線で補聴器を比較試聴した時フォナックの補聴器だけ車内アナウンスが聞こえにくかったことがありました。正直あの当時は、オーティコンのMoreやリサウンドのマリーのほうが聞きやすいと感じた。
指向性マイクが働くと顔が向いている方向しか声を拾いずくなる、社内放送は天井のスピーカーから聞こえますが、座っているので正面または下を向いていることがあり、フォナックのディメリットだよね、って記事をあげました。S様のお話を聞くと指向性が利いても周囲の声をしっかり拾ってDEEPSONICが音声分離してノイズを落としていんるですね。
今回I90を購入する前にフォナックのルミティ、リサウンドのネクシア、シグニア5IX、オーティコンのインテント1も立川補聴器さんで試聴させていただきましたが、小さな声の明瞭感は試聴した補聴器ではあまり印象に残っておりません。I90を今後こちらのお客様におすすめする大きなポイントだと思います。
終日使ってみていかがでしたか?
I90スフィアを朝起きてから夜寝るまで使用されてみて何か感じたことを教えていただけないでしょうか。
。。。。。大きく別けて3点あると思います。
僕の補聴器(M50-R)と試聴させていただいたネクシア・インテントは人の声が機械音のように聞こえることがあり、それがちょっとしたストレスになっていました。ずっと機械音ではなくある一定の条件になると人の声が機械音のように聞こえる。
2点目がボリュームをあまり上げなくなったこと、雑音があると聞こえにくくなるので何となく補聴器のボリュームを上げてしまう、それで疲れてしまうことがありました。
3点目が耳型のフィット感 他社の補聴器を試聴した際、耳の穴がぎゅっと押し広げられているように感じて外したときにほっとすることが結構ありましたが、今回のフォナックの耳栓はとてもフィットしていて違和感がないです。
詳細なレビューをいただきありがとうございます。
2点目は僕もS様がI90の試聴を終えた後、データログを見て思いました。
こちらは2週間、I90スフィアをご試聴いただいた時のボリューム可変量です。
静かな環境の時、たまにプラス1ステップ(2dB音量があがる)されていますが、それ以外ではほぼボリュームを上げておりません。特に騒音下で会話する際は、ほぼボリューム±0、ごくまれに+1している程度です。
雑音抑制が効いているのでボリュームを上げなくても聞き取りが良くなっているためだと思います。
M50の時もそうでしたが、このボリューム変更の履歴は非常に参考になります。
調整の希望をお伝えするときにこんな場面だと聞き取りにくかった、音量が小さかったなどお伝えできます。
耳栓のフィット感がよかった
S様にお選びしたオーダーメイド耳栓
今回、I90スフィアをご試聴いただくあたり「スリムチップ」という耳栓をフォナックに作ってもらいました。
耳型は3Dスキャン(オトスキャン)で採取したものを使用しております。
S様が過去ご利用だったオーダーメイド耳栓
M50マーベルの時は、「Cシェル」というスピーカーとイヤモールドが一体化している耳栓を使っていました。この当時、フォナックはまだオトスキャンに対応していなかったため、印象材という粘土のようなものをお耳に注入して採取していました。オトスキャンはお耳に圧力がかからない無圧で採取するため非常に正確に採取が出来ます。
なるほど、M50の耳栓と比較すると最初のころは緩い感じがしましたが、段々慣れてくる?馴染んできて違和感はなくなりました。M50の耳栓と比較すると補聴器を着けていることを忘れるくらいです。
フォナックには「鬼塚さん」というシェルの職人がいらっしゃいます。
今回のスリムチップも鬼塚さんのチームで設計(モデリング)されたようです。
店長さんに聞いたのですが、フォナックさんは東京に耳型を整形する工場をもっているとか。。。HP(パソコンメーカー)のようにmade in Tokyoなんですね、僕の耳栓も。
最後にスフィアを皆様におすすめできますか?
今回のオーデオインフィニオ スフィアは、他の補聴器ユーザー様におすすめできそうでしょうか?
そうですね。。。性能はM50やその他補聴器と比較してダンチだと思います。今まで困っていたことがほぼすべて解消しています。
今回、スフィア登場キャンペーンということで通常の価格からかなりお値引きいただいたのでM50から切り替えを決断しましたが、通常価格だとちょっと手が出ない気もします。
確かに、価格についてはかなり高額な部類に入ります。
他メーカーもハイエンドは同じくらいの価格になりますので、ハイエンドを選ぶならデュアルチップ搭載のスフィア一択だと思います。価格については。。。フォナックから案件引っ張ってきて頑張ります笑
あと、メーカーさんにお願いです。
リサウンドやオーティコンは、Bluetooth接続してスマホと中継するオプションがあります。
リサウンド・オーティコン試聴の際結構便利につかえました。フォナックは本体にBluetoothが内蔵されているため、電話の時ハンズフリーで便利と言え便利なのですが相手様から自分の声が聞こえにくいと言われることがあります。出来れば中継器もオプションで用意してもらいたい。
フォナックさん!ユーザー様からのご要望です。ご検討お願いします。
最後になりますが、M50、I90共に当店の調整はいかがでしたでしょうか?
現在のI90スフィアの調整についてはまだまだ始まったばかりですが、いつも実施いただいているREMターゲットマッチのおかげで調整時間が大幅に短縮出来て助かっています。2023年ごろの実耳測定は40分位かかっていましたが、2024年からは10分くらいで終わり、調整後の聞こえも十分満足しています。
そう言っていただけると大変うれしく思います。
フォナック(ユニトロンも)がターゲットマッチを実装してから調整の時間が大幅に短縮され、かつ正確に調整できるようになりました。調整後、補聴器を着けた時の聞こえ(音場装用閾値)を測定しており、補聴器販売店における効果測定に適合しそうな測定結果が得られています。
REMターゲットマッチについては、別記事で解説しています
REMターゲットマッチの過去記事
フォナック/ユニトロン補聴器の調整が大幅短縮!実耳測定(REM)を自動で行う「ターゲットマッチ」開始!あれ(REMターゲットマッチ)が実装されてからは調整に来店する回数が一気に減りました。多い時は月に3回ほど調整に来ていましたが、ターゲットマッチ後はほぼ調整なしでストレスフリーです。I90もターゲットマッチ1回で2週間試聴しましたが全く違和感がなく、こういった最新の調整を行っていただけるのでこちらで決めるきっかけになりました。
ありがとうございます!!今後も補聴器ユーザー様がもっと手軽に、もっと聞こえやすくなるように測定機器アップデート、自分含めたスタッフのスキルアップに尽力してまいります。
この度はお忙しい中、ありがとうございました。今後も宜しくお願い致します。
まとめ
今回は、2024年12月16日に先行発売されたフォナックのオーデオ インフィニオ(I90)スフィアをご購入いただいたS様のレビューをお届けいたしました。お話を伺った際、ちょっと気になることがあったのでご紹介したいと思います。
データログ
これはフォナックの補聴器調整ソフト「ターゲット」の画面です。補聴器ユーザー様がどの環境で補聴器を使用したか、その割合がわかるようになっています。
- 静かな環境 70%
- 騒音下の言葉 9%
- 非常に騒がしい中での全方位からの言葉 1%
- 車の中での言葉 9%
- 騒音下での快適性 4%
- 音楽 2%
70%は静かな環境で使用
70%は静かな環境で使用されています。出張や在宅勤務があったとS様から聞いておりませんので恐らく通常のルーチンだと70%は静かな環境でお過ごしになられています。
マスク越しの会話が聞き取りやすかった、離れた場所の声が聞き取れた
過去試聴されたルミティ・ネクシア・インテントだと聞き取りに不満が出る、スフィアだと解決。ということは、I90スフィアに搭載されているスピーチエーハンサー+DEEPSONICの恩恵が非常に強いことが推測できます。
▼詳細はフォナックの公式ページに掲載されています
9%が騒がしい中での会話
2週間I90スフィアをご試聴いただき、9%が騒がしい中での会話が選択されていました。これは会話をしている時、周囲の雑音が43dB以上になるとこのプログラムが発動し、前方指向性になり、補聴器ユーザー様から少し離れた場所の音を抑制します。DEEPSONICも連動して動作しています。
騒がしい中でボリュームを上げることはあまりなかった、コミュニケーションが円滑になった
騒がしい中で指向性+雑音抑制+DEEPSONICがうまく融合してS様のレビューどおりになっています。
▼公式ページの解説をどうぞ
今回S様のレビューと2週間I90スフィアを試聴した補聴器内のデータログを照らし合わせてみたところ、S様がおっしゃられていることがしっかりと記録されておりました。またメーカーサイトにも補聴器ユーザー様が良い聞こえを求める場面は?の解説が掲載されおり、補聴器本体の性能とユーザー様が求めるものがS様のレビューを通して一致していることが確認できました。
フォナック公式サイトのスクリーンショット
これは、始まりなのです
オーデオインフィニオスフィアはまだ全貌を現したわかではありません。現在準備中または封印されている機能があり、実装されるときがいずれやってきます。封印がとかれた時、またこのサイトでお知らせしていきます。
最後になりましたが、大変ご多忙な中オーデオインフィニオスフィアのご試聴とレビューをくださったS様、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。