「最近、補聴器の音が小さい」「片耳だけ急に聞こえなくなった」――その原因として多く見られるのが、故障ではなくワックスフィルター(耳垢ガード)の目詰まりです。補聴器の音の出口に付いている小さな白い部品で、耳垢がスピーカーに入るのを防いでいます。ここが詰まると、音はピタッと出なくなります。

この記事では、当センターで取り扱っているRIC型(耳かけ・レシーバ耳内型)と耳あな型(オーダーメイド)について、メーカーごとに異なるフィルターの名称・交換の目安・ご自身で交換するときのコツを、写真とあわせてまとめました。耳かけ型(BTE)のイヤモールドのお手入れは別記事をご用意していますので、そちらをご覧ください。
※補聴器本体は管理医療機器(クラスII・空気伝導式補聴器)に指定されています。各製品の正式な販売名や医療機器承認番号、添付文書等の詳細情報は、各メーカーのカタログまたは取扱説明書をご確認ください。
最終更新日:2026年X月X日|立川補聴器センター(認定補聴器専門店)が、フォナック・オーティコン・リサウンド・シグニア・ワイデックス・スターキー・ユニトロンの最新フィルター情報をもとに作成しています。
- 音が出ない・小さい時はまず疑うべきはフィルター。故障より先に、この部品の目詰まりを確認します。
- 名称はメーカーごとに違います。フォナック=セルストップ/セルシールド、オーティコン=プロワックス ミニフィット、リサウンド=GNワックスガード、シグニア=ミニレシーバーワックスガード(世代で異なる)、ワイデックス=ナノケア/セルストップ、スターキー=ワックスガード。
- 【重要】フォナック「セルシールド」は廃盤になりました。お使いの方は、メーカー修理でセルストップ対応のレシーバへ交換できます。
- 交換の目安は1〜3か月に1回。耳垢が多い方・湿った耳の方は、もっと早いサイクルになります。
- 不安な時は無理せず店頭へ。当センターでは交換とあわせて、音の出口の点検まで行います。
ワックスフィルター(耳垢ガード)とは?
ワックスフィルターは、補聴器の音の出口(レシーバ=スピーカー)の先端に付いている、直径数ミリの白い樹脂部品です。耳垢(じこう)や皮脂がスピーカー内部に入り込むのを防ぐ「関所」の役割をしています。「ワックス(耳垢)をガードする」ことから、ワックスガード・耳垢ガードとも呼ばれます。
フィルターは、補聴器の中でいちばん耳垢の影響を受けやすい部品です。だからこそ「定期的に使い捨てで交換する消耗品」として設計されています。詰まり=故障ではありません。
- 急に音が出なくなった・こもって聞こえる
多くは故障ではなく、フィルターに耳垢が詰まって音をふさいでいる状態です。 - 片耳だけ調子が悪い
左右で耳垢の量は違います。片側だけ詰まることはよくあります。 - 電池や充電は正常なのに小さい
電源は入っているのに音が弱い時は、出口のフィルターを真っ先に確認します。
耳あかが詰まった状態の写真です(苦手な方はそのままお進みください)。拡大画像のため大きく見えますが、実際は数ミリの小さな部品です。
画像をご覧になるときは+ボタンを押すと画像が開きます。耳垢が詰まったフィルターの画像を掲載致します。聞こえが悪くなった時、耳垢フィルターがこんな感じになっていることがあります。

交換後


交換後

RIC型と耳あな型でフィルターはこう違う
RIC型(耳かけ・レシーバ耳内型)
耳の中に入るレシーバ(スピーカー)の先端、耳せん(ドームやイヤチップ)を外した内側にフィルターが付いています。レシーバごとに対応するフィルターが決まっているのが特徴です。
耳あな型(オーダーメイド)
補聴器本体の先端、音の出口に直接フィルターが埋め込まれています。本体が耳の奥に収まる構造のため、RIC型より耳垢の影響を受けやすく、こまめな交換が効果的です。
同じメーカーでも、RIC用と耳あな型用でフィルターの形・型番が異なる場合があります。下の一覧は代表的な名称です。実際の適合は機種・レシーバによって変わるため、ご購入店でご確認ください。
【一覧表】メーカー別ワックスフィルターの名称
雨耳(湿性耳垢)や中耳炎などお耳の状態によっては、上記以外の特別なフィルターを使う場合があります。迷ったときはご購入店にお尋ねください。
【重要なお知らせ】フォナック「セルシールド」廃盤について
フォナックのRIC用フィルターには、これまで「セルストップ」と「セルシールド ディスク」の2種類がありました。セルシールド ディスクは、回転式ディスペンサー型のフィルターです。
この「セルシールド」が廃盤となりました。現在セルシールドをお使いの方は、メーカー修理でセルストップ対応のレシーバへ交換することで、引き続き安心してお使いいただけます。
セルシールドのレシーバをお使いの方も、すぐに使えなくなるわけではありません。お手元の在庫がなくなるタイミングや、点検・修理に出される機会にあわせて、レシーバ交換をご検討いただくのがスムーズです。当センターで現状を確認し、最適なタイミングをご案内します。
「自分の補聴器はセルストップ?セルシールド?」がわからなくても大丈夫です。補聴器をお持ちいただければ、その場で判別してご案内します。フォナック・ユニトロンをお使いの方は、一度ご相談ください。
交換の目安とタイミング
交換の目安は、おおよそ1〜3か月に1回です。ただしこれは平均的な目安で、耳垢の量や性質によって大きく変わります。次のような方は、もっと短いサイクルになります。
- 耳垢が多い方、湿った耳垢の方
- 耳あな型をお使いの方(出口が耳の奥にあるため詰まりやすい)
- 「最近こもる」と感じる頻度が増えてきた方
「カレンダーで毎月決めた日に交換」と決めてしまうと、詰まってから慌てずに済みます。音が出なくなってからではなく、定期的に先回りして替えるのがコツです。
ご自身で交換するときの手順
フィルターは、メーカー純正の交換ツール(スティック)で「抜く・挿す」を行います。基本の流れは共通です。
レシーバ先端の耳せんをまっすぐ引き抜きます。耳あな型はこの工程は不要で、本体先端のフィルターを直接交換します。
ツールの突起を古いフィルターにまっすぐ挿し込み、ねじらずに真っ直ぐ引き抜きます。斜めに力を入れると、レシーバ内部を傷める原因になります。
ツールのもう一方には新品が付いています。出口の穴にまっすぐ差し込み、フィルターだけを残してツールを抜きます。
RIC型は耳せんを戻します。手のひらで軽く覆って「ピー」とハウリングが鳴れば、音は正常に出ています。
参考動画
自分で交換するときの注意点
必ず「機種・レシーバに合った純正フィルター」を使ってください。サイズ違いのフィルターは入らない、または奥で外れて取れなくなる恐れがあります。とがった爪楊枝や針で穴を突くのは絶対にやめてください。スピーカーを破損させ、修理が必要になります。
小さな部品のため、手元が見えにくい方や指先の細かい作業が苦手な方は、無理をせず店頭にお持ちください。当センターでは交換だけでなく、音の出口やレシーバ内部の状態まで点検します。
急に聞こえなくなって「壊れた」と思って持って行ったら、フィルターの交換だけで元通りに。あんなに小さい部品だったとは。
よくあるご質問
- フィルターはどこで買えますか?
- ご購入店でお求めいただけます。当センターでも各メーカーの純正フィルターを取り扱っています。機種・レシーバによって対応品が異なるため、補聴器をお持ちいただくと確実です。
- 交換したのに音が出ません。故障でしょうか?
- フィルターを替えても改善しない場合は、レシーバ本体や音の経路に別の原因がある可能性があります。無理に触らず、店頭で点検させてください。
- フォナックのセルシールドが手に入りません。
- セルシールドは廃盤になりました。メーカー修理でセルストップ対応のレシーバへ交換できますので、当センターにご相談ください。お手元の補聴器を拝見して、現状と最適なタイミングをご案内します。
- 他店で買った補聴器でも交換してもらえますか?
- 対応できる場合があります。機種・レシーバを確認させていただきますので、まずはお気軽にご来店ください。
- 耳あか防止フィルターはネットでも購入できますか?
- はい、できます。当店運営、立川補聴器センターYahoo!店でも販売しています。詳しくは下記のリンクをご覧ください。
まとめ
「音が出ない・小さい」の多くは、ワックスフィルターの目詰まりです。名称はメーカーごとに違いますが、いずれも定期交換が前提の消耗品。1〜3か月に1回を目安に、先回りして替えるのがいちばんのトラブル予防です。フォナックのセルシールドをお使いの方は、廃盤に伴うレシーバ交換のご案内ができますので、点検を兼ねて一度お立ち寄りください。
メーカー公式のお手入れページ
機種ごとの正確な手順・対応フィルターは、各メーカーの公式サポートでもご確認いただけます。下記は日本語の公式お手入れ情報です。
- フォナック(セルシールド ディスク交換方法・公式ナレッジベース):phonak.com
- オーティコン(補聴器のお手入れ方法):oticon.co.jp
- ワイデックス(補聴器のお手入れ):widex.com
- シグニア(補聴器のお手入れ):signia.net
- バーナフォン(耳あか防止フィルターの交換方法):bernafon.co.jp
- リオネット(補聴器アクセサリー・純正交換部品):rionet.jp
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