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【耳垢トラブル激減?】フォナック新型耳栓「イージーガード(EasyGuard)」を徹底解説 ― 海外エビデンスと専門家レビューから見る“本当の実力”

いつも当店のブログをご覧いただきありがとうございます。今回は、フォナックから発売された「耳せん」についてお伝えしたいと思います。

はじめに:あの「白いフィルター交換」、面倒ではありませんか?

フォナックの補聴器をお使いの方なら、一度は見たことがあるはずの 「白い小さなフィルター(ワックスガード)」。
これが耳垢で詰まると、

  • 「急に右だけ聞こえなくなった」
  • 「音は出ているけれど、なんだかこもって聞こえる」
  • 「フィルターが小さすぎて、交換がとにかく大変」

といったトラブルにつながります。

フォナック(親会社 Sonova)の内部データでは、補聴器のサービス対応のうち約38%が“耳垢や汚れのクリーニング・フィルター交換”に関係していた と報告されています。さらに、約33%は「フィルター交換だけ」で解決してしまったケースでした。それだけ、「耳垢」が補聴器トラブルの大きな原因になっているということです。

こうした課題に対して、フォナックが「一番地味で、一番重要なパーツ」にメスを入れてきました。それが今回ご紹介する、新型耳栓 「イージーガード・ドーム(EasyGuard Domes)」 です。

参考にしたサイト

  • フォナック公式のフィールドスタディ(Field Study News)
  • アメリカの有名オージオロジスト、Dr. Cliff Olson(ドクター・クリフ)の詳細レビュー

をもとに、立川補聴器センターとしての専門的な視点も交えながら、分かりやすく解説していきます。また、弊社が運営しているネットショップ「立川補聴器センターYahoo!店」も連携し、販売を開始します。

穴がない!?「イージーガード」の驚きの仕組み

イージーガード耳栓を着けたフォナック補聴器

従来のドームの問題点

従来のシリコン製ドームは、(柔らかい耳栓のこと)

  • 先端に「音を出すための小さな穴」が開いている
  • その奥に「白いワックスフィルター」が入っている

という構造でした。

ところが、この 「音の出口」から耳垢も入り込んでしまう ため、

  • フィルターに耳垢が付着 → 音量低下・こもり
  • 完全に詰まる → 無音
  • 頻繁なフィルター交換 → 手元が不自由な方には大きな負担

という悪循環が起きていました。

補聴器購入店で定期的な耳栓のお掃除が必要

「え? 穴がなかったら音が出ないのでは?」と思われるかもしれませんが、その代わりに、先端には 音響透過メンブレン(sound-transmitting membrane) と呼ばれる 薄い膜 が入っています。

この膜が、

  • 音は通す
  • 耳垢や湿気は通さない

というフィルターの役割を果たします。

二重・三重の“耳垢バリア構造”

構造としては、

  1. 先端の 音響透過膜(イージーガード)
  2. その奥にある 従来のワックスフィルター(セルストップ など)
  3. ドーム自体の形状・溝構造(耳垢を横に逃がす工夫)

という 多層バリア構造 になっており、耳垢がレシーバー本体まで到達しにくくなるよう設計されています。

フォナック公式資料でも、

  • 先端の膜は「第二のワックスバリア」として機能する
  • ドーム表面の溝は、耳垢を先端から外側に流す役割がある

と説明されています。

音質は変わらないの?(海外専門家の検証)

この動画を参考にしました

「膜が入ると、音がこもるのでは?」ここが一番気になるところだと思います。フォナックは、2ccカプラと試験箱(補聴器の性能を確認する装置)を用いて、従来の SDSベント付ドーム・新しい イージーガード・ベント付ドームの出力を比較測定しています。

従来のベント付きドーム
イージーガード耳栓

結果として、周波数特性(音の出方)は 非常によく似ている・低~中音域で数dB程度の差が見られるが、高音域ではほとんど差がないというデータが示されています。

メーカーとしては、「臨床的には、ほぼ同等の音響特性と考えられる」という立場です。

フォナック公式資料より引用

図3には2つの曲線が⽰されています。⿊い曲線は、2ccカプラに接続されたアダプタに従来の⽿せんを装着したレシーバの測定値と、レシーバの先端を直接カプラに接続した測定値との出⼒差を表しています。この結果、低周波数ではベント効果が⾒られ、⾼周波数では⽿せんを使⽤した場合とレシーバ単体との⾳響特性の違いにより⼩さな差異が⽣じます。

緑の曲線は新しいベント付きイージーガード⽿せんを⽤いて、同様の測定を⾏った結果です。両⽅の曲線の差は⼩さく、図に⽰された許容範囲内に収まっています。したがって、この結果はイージーガードと従来の⽿せんとの⾳響性能が同等であることを⽰唆しています。

立川補聴器センターとしての考え方

弊店としても、フォナックの公式データ、ドクタークリフの測定結果の両方を踏まえ、
「音質はほぼ同等。ただし、変更時は再調整をした方がベター」
と考えております。

海外ユーザーの実証実験データ(満足度)

フォナックの研究部門(Phonak Audiology Research Center, PARC)は、イージーガード・ドームについて 4か月間のホームトライアル(在宅試用) を行っています。

試験の概要

  • 参加者:20名(うち19名が最後まで完了)
  • 年齢:59〜92歳(平均約75歳)
  • 両側の感音難聴(軽〜中等度)
  • 既に補聴器に慣れている“経験者”を対象
  • 機種:Audéo Infinio / Infinio Sphere などのRICタイプ
  • ドーム:イージーガード・ベント付ドーム

結果① 掃除の時間は減った?

その中で、約61%が「イージーガードにした方が掃除の時間が減った」と回答

参加者の多くが、普段から 自分でドームを外してフィルター掃除・交換をしている と回答

つまり、

「同じ人が、同じ自宅環境で使ってみて、
“前より手入れが楽になった” と感じた方が多数いた」

ということです。

結果② つけ心地(装用感)

4か月使用した後のアンケートでは、

  • 約90%が「従来のドームと同じくらい、もしくはそれ以上に快適」と回答

さらに詳細を見ると、

  • 約58%が「自分が元々使っていたドームより、イージーガードの方が快適」と感じた

とまとめられています。

フォナック公式資料より引用

結果③ 好み・満足度

ドームの「好み」を聞いたところ、

  • 約68%が「イージーガードの方が良い」と回答
  • 従来ドームを好んだ人は約11%
  • 「どちらでもよい」が約21%

補聴器全体の満足度については、

  • 約58%が「イージーガード使用で満足度が上がった」と回答
  • さらに約79%が「他の人にも勧めたい」 と答えています。

100%ではありませんが、「多くの既存ユーザーにとって、より良い選択肢になっている」と言える数字です。

対応機種と注意点

対応レシーバ・シリーズ

  • マーベル(Marvel)
  • パラダイス(Paradise)
  • ルミティ(Lumity)
  • 最新のインフィニオ(Infinio)シリーズ など

現時点でフォナックが公表している互換性は、SDS 4.0 / 5.0 / 6.0というレシーバーを使用している補聴器がイージーガード耳栓をご利用いただけます。

他社製品との互換について

Dr. Cliff は動画内で、Starkey のRICに物理的には装着できた、Oticon のRICには合わなかったと検証結果を述べていますが、メーカー公式に認められた使い方ではありません。

弊店としても、「イージーガードは、基本的にフォナック補聴器でのみ使用する」ことをおすすめします。Xでオーティコンの補聴器にフォナックの耳栓を着けている方を見たことがありますが、外れますので注意してください。

お手入れ方法とアドバイス

基本のお手入れ

フォナックの推奨はシンプルです。

  • 使い終わった後や耳垢がついたときに
    乾いた布やティッシュで“先端と側面”をやさしく拭き取る

イージーガードの膜が耳垢を中に通さないので、「外側をさっと拭くだけ」で日常のお手入れは十分 という考え方です。

アルコールワイプは使っても大丈夫?

Dr. Cliff は動画の中で、

  • 自分は アルコールワイプやレンズクリーナーのような“少し湿ったもの” を使うのが好み
  • 10分ほど拭き続けてみたが、膜が壊れることはなかった

とコメントしています。

当店としても、

  • 日本は湿度が高く、耳垢もベタつきやすい環境
  • 乾拭きだけでは落ちにくい汚れもある

ことを考えると、

  • 日常は 乾拭き
  • こびりついた汚れには 専用のクリーニングシートや、推奨されたアルコールワイプ を時々使う

といった “使い分け” が現実的だと考えています。

取り外しの注意点

ドームを交換するときは、

  • 先端の“膜部分”や出っ張りを引っ張らず
  • 根元(裾の部分)をつまんで、めくるように外す

方が、膜や構造を傷めにくく安全です。

立川補聴器センターからのコメント

「全員に絶対おすすめ」ではなく、「耳垢トラブルにお困りの方には“かなり有力な選択肢”」

イージーガード・ドームは、

  • 音質・装用感を大きく変えずに
  • 耳垢トラブルとメンテナンス負担を減らすことを目指したパーツ

です。

そのため、当センターとしては、

  • 耳垢が多くて、たびたび聞こえなくなる方
  • フィルター交換が細かくて苦手な方
  • ご家族が毎回メンテナンスをしていて負担に感じているケース

には、特に 一度試していただく価値が高い と考えています。

一方で、

  • 耳垢が少なく、トラブルがほとんどない方
  • すでに現在のドーム+設定で聞こえにとても満足している方

については、必ずしも「すぐに変えた方が良い」とは限りません。

「音のバランス」と「お手入れの手間」の両方を見ながら、
お一人お一人に合った選択を一緒に考えていく。

それが、当センターのスタンスです。

まとめ:こんな方におすすめです

最後に、イージーガード・ドームが特に向いているのは、こんな方です。

  • 耳垢が多くて、補聴器がよく詰まる・音が出なくなる
  • ワックスフィルター交換が細かすぎて大変 と感じている方
  • ご家族が、毎回フィルター交換を手伝っていて、
    「もう少し楽にならないかな…」 と思っている方
  • 補聴器の故障・メンテナンスの来店回数を、できるだけ減らしたい方

立川補聴器センターでは、

  • フォナック補聴器の既存ユーザーさま
  • これからフォナック機種をご検討中の方

どちらに対しても、実際にイージーガード・ドームを装着していただき、聞こえ・つけ心地・お手入れのしやすさ を一緒に確認しながらご提案いたします。

「私の補聴器にも付くのかな?」
「耳垢トラブルが多いけれど、どうしたらいい?」

といったご相談も、どうぞお気軽にお声がけください。

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