
暑くなってくると、イヤモールドがぬるぬるしたり、においが気になったりすることはありませんか?
先日も店頭で「夏になるとイヤモールドがベタつく」「洗っていいのか分からない」というご相談をいただきました。
結論からいうと、従来型BTE(耳かけ型)補聴器で使うイヤモールドは、補聴器本体から外した状態であれば、ぬるま湯と中性洗剤で洗える場合が多いです。
ただし、ここで大事なのは「洗ってよいのはイヤモールドだけ」という点です。補聴器本体、RIC型のレシーバー、充電器、電池まわりは水洗いできません。ここを間違えると故障につながります。
この記事では、BTE(耳かけ型)補聴器のイヤモールドを中心に、毎日のお手入れ、週1回の洗浄、チューブ内の水分の抜き方、やってはいけないことを整理します。
- 従来型BTE(耳かけ型)補聴器のイヤモールドのお手入れ
- イヤモールドを外して洗うときの注意点
- チューブ内の水分を抜く方法
- 家庭でできるケアと、店頭で行うプロケアの違い
こんなお悩みはありませんか?

イヤモールドまわりの相談で多いのは、次のような内容です。
- 急に音が小さくなった、または聞こえなくなった
- ピーピーとハウリングが出るようになった
- 耳に入れるとぬめり・ベタつきを感じる
- イヤモールドから嫌なにおいがする
- 耳の中がかゆい、赤くなった、耳だれが出る
- 音がこもる、輪郭がぼやけて聞こえる
- チューブが黄色く硬くなってきた
これらのすべてが掃除だけで解決するわけではありません。ただ、イヤモールドやチューブの汚れ、湿気、劣化が原因で起きるトラブルも少なくありません。
特に夏場は、汗・皮脂・耳あか・湿気が重なり、ぬめりやにおいが出やすくなります。強いかゆみ、痛み、耳だれ、赤みがある場合は、お手入れだけで済ませず、耳鼻咽喉科への相談をおすすめします。
結論:水洗いしてよいのは「外したイヤモールドだけ」
この形の耳かけ型はイヤモールド(耳栓部分)と補聴器がひっぱれば分離できます。透明の耳型部分に電子部品は入っていないため、水洗いが可能です。

RICタイプは注意が必要
RICタイプと呼ばれる小型耳かけ型をご利用でイヤモールドを追加している場合、注意が必要です。
左側のベージュのイヤモールドは絶対に洗ってはだめです。イヤモールドの中にレシーバーという音を出す部品が内蔵されているため、洗ったら壊れてしまいます。
右側のイヤモールドは、レシーバーとイヤモールドを分離できるので、水洗いできます。

- 従来型BTEのイヤモールドは、本体から外した状態であれば、ぬるま湯と中性洗剤で洗える場合が多いです。
- 補聴器本体は、絶対に水につけないでください。電子部品が入っています。
- RIC型のレシーバーやワイヤー部分も水洗いできません。
- 洗ったあとは、チューブ内の水分を抜き、完全に乾いてから補聴器本体に戻します。
海外の公的医療機関やメーカー資料でも、従来型BTEのイヤモールドについては「本体から外して洗う」「補聴器本体は濡らさない」という記載が多数あります。
イヤモールドだけなら洗える場合がありますが、補聴器本体やRIC型のレシーバーを水につけるのは故障の原因になります。不安な場合は、自己判断せずお店にご相談ください。
BTEとRICでお手入れが違う理由
補聴器のお手入れで混乱しやすいのが、BTE(耳かけ型)とRIC(レシーバーインカナル)の違いです。
どちらも耳の中に入る部品がありますが、耳の中に電子部品が入るかどうかが大きく違います。
| 項目 | 従来型BTE+イヤモールド | RIC/RITE |
|---|---|---|
| 耳に入る部分 | イヤモールド+チューブ | レシーバー、ドーム、または専用モールド |
| 電子部品 | 耳の中のモールド側には基本的に電子部品なし | 耳の中にレシーバーが入る |
| 水洗い | 本体から外したイヤモールドは可の場合が多い | レシーバーやワイヤー部分は不可 |
| 主なお手入れ | 乾拭き、ブラシ、必要に応じて水洗い、チューブ乾燥 | 乾拭き、ブラシ、ワックスガード交換 |
| 注意点 | 洗浄後はチューブ内の水分を完全に抜く | 水分・耳あかからレシーバーを守る |
この記事は、従来型BTE(耳かけ型)補聴器のイヤモールド向けです。RIC型をお使いの方は、レシーバーやワイヤー部分を水洗いしないでください。
イヤモールドの基本構造
お手入れの前に、イヤモールドの構造を簡単に確認しておきましょう。BTE用のイヤモールドは、大きく分けて次の部品で成り立っています。
- 耳栓部分(モールド本体)
耳型をとって作るオーダーメイドの部品です。アクリル系の硬い素材や、シリコン系の柔らかい素材などがあります。 - チューブ
イヤモールドと補聴器本体をつなぐ透明な管です。音の通り道になります。 - ベント
イヤモールドに開けられた小さな空気穴です。こもり感の軽減や音の調整に関係します。
お手入れで特に大事なのは、音の通り道であるチューブと音口をふさがないことです。耳あかや水滴が残ると、音が小さくなったり、こもって聞こえたりすることがあります。
毎日のお手入れ:30秒で終わる3ステップ

毎日のお手入れは、難しいことをする必要はありません。就寝前に「拭く・払う・乾かす」を習慣にするだけでも、汚れや湿気のトラブルを減らしやすくなります。
イヤモールドと補聴器本体の表面を、乾いたやわらかい布で軽く拭きます。汗や皮脂をその日のうちに落とすイメージです。

音口やチューブの入口まわりに耳あかがついている場合は、補聴器用ブラシでやさしく払います。強く押し込むと、かえって汚れを奥に入れてしまうことがあります。

就寝中は乾燥ケースや乾燥器に入れて、湿気を抜きます。汗をかきやすい季節は、特にこの習慣が大切です。

乾拭きで物足りない場合は、補聴器用のアルコールフリー清拭シートを使う方法もあります。ただし、消毒用アルコールや家庭用洗剤を自己判断で使うのは避けてください。
週1回の洗浄:イヤモールドだけを外して洗う
ぬめりやにおいが気になる場合は、週1回を目安に、イヤモールドだけを補聴器本体から外して洗います。
このとき、補聴器本体は絶対に水につけないでください。水洗いするのは、電子部品の入っていないイヤモールド部分だけです。
チューブを持って、補聴器本体のフック部分からイヤモールドを外します。外し方が分からない場合は、無理に引っぱらず店頭で確認してください。


ぬるま湯に少量の中性洗剤を入れ、イヤモールドをやさしく洗います。熱湯は変形や劣化の原因になるため使わないでください。


洗剤が残らないように、ぬるま湯でよくすすぎます。洗剤残りは、かゆみや違和感の原因になることがあります。

洗ったあとは、チューブの中に水滴が残ります。エアブロアーを使って、チューブ内の水分をしっかり吹き飛ばします。

表面だけでなく、チューブの中まで乾いていることを確認してから、補聴器本体に戻します。水滴が残ったまま戻すと、補聴器本体側に水分が入るおそれがあります。

水洗いしてよいのは、補聴器本体から外したイヤモールドだけです。補聴器本体を濡らしてしまった場合は、電源を入れたり充電器に戻したりせず、早めにご相談ください。
クリーニングタブレットという選択肢

ぬるま湯と中性洗剤での洗浄に加えて、イヤモールド用のクリーニングタブレットを使う方法もあります。
クリーニングタブレットは、専用カップにぬるま湯と一緒に入れて発泡させ、外したイヤモールドをつけ置きするタイプの洗浄剤です。チューブの内側や細かい凹凸の汚れにアプローチしやすいのが特徴です。
クリーニングタブレットの使い方
- 専用カップにぬるま湯を入れる
- タブレットを1錠入れて発泡させる
- 本体から外したイヤモールドだけを入れる
- 指定時間つけ置きする
- 取り出してしっかりすすぐ
- エアブロアーでチューブ内の水分を抜き、完全に乾燥させる
クリーニングタブレットを使う場合も、補聴器本体やRIC型のレシーバーは入れないでください。使用時間や濃度は、製品ごとの説明に従ってください。

メガネ用などの家庭用超音波洗浄機を使って、イヤモールドを洗浄する方法もあります。ただし、これは基本のお手入れというより、使い方を理解している方向けの方法です。

超音波洗浄機に入れてよいのは、補聴器本体から完全に外したイヤモールドだけです。
補聴器本体、RIC型のレシーバー、電池、充電器、ワイヤー部分は絶対に入れないでください。
不安がある場合は、ご家庭で無理に行うよりも、店頭での超音波洗浄やチューブ交換をご利用いただく方が安全です。
イヤモールド洗浄でいちばん見落としやすいのが、チューブの中に残る水滴です。
チューブ内に水滴が残っていると、音が小さくなったり、こもったり、補聴器本体側に水分が移ってしまうことがあります。洗浄後は、エアブロアーでチューブ内の水分をしっかり抜いてください。
エアブロアーが手元にない場合、ティッシュを細くひねった「こより」で水分を吸い取る方法が紹介されることもあります。ただし、ティッシュ片が残ったり、細いチューブを傷めたりすることがあるため、基本はエアブロアーをおすすめします。
イヤモールドのチューブは、使っているうちに少しずつ黄ばんだり、硬くなったり、ゆるくなったりします。
交換時期は使用環境や汗の量、チューブの種類によって変わりますが、次のような変化があれば点検をおすすめします。
- チューブが黄色く変色してきた
- チューブが硬くなってきた
- イヤモールドと補聴器本体の接続がゆるい
- 音がこもる、または小さく感じる
- ハウリングが増えた
目安としては数ヶ月から半年程度で状態を確認し、必要に応じて交換します。細いチューブや汗をかきやすい方は、早めの交換が必要になることもあります。
絶対にやってはいけないNG集
イヤモールドや補聴器のお手入れでは、次のような方法は避けてください。
- 補聴器本体を水につける、水洗いする
- RIC型のレシーバーやワイヤー部分を洗う
- アルコール、漂白剤、消毒用エタノール、家庭用洗剤を自己判断で使う
- ドライヤーの温風、電子レンジ、直射日光、ストーブで乾かす
- マイク穴にブラシを強く押し込む
- つまようじ、針、硬い金属などを音口やチューブに押し込む
特に本体の水濡れは故障につながります。濡らしてしまった場合は、電源を入れたり充電したりせず、できるだけ早く補聴器店にご相談ください。
まず用意したい基本のお手入れ用品
ご家庭でのお手入れは、いきなり多くの道具を揃える必要はありません。まずは基本の道具を用意しましょう。
| アイテム | 用途 | 使用頻度 |
|---|---|---|
| やわらかい布 | 汗・皮脂の拭き取り | 毎日 |
| 補聴器用ブラシ | 音口やチューブ周辺の耳あか除去 | 毎日〜必要時 |
| エアブロアー | チューブ内の水分除去 | 洗浄ごと |
| 乾燥ケース・乾燥器 | 湿気対策 | 毎晩 |
| クリーニングタブレット | イヤモールドのつけ置き洗浄 | 必要時 |
家庭用超音波洗浄機は、使い方を間違えると故障リスクがあります。導入する場合は、必ず「本体から外したイヤモールドだけ」に限定してください。不安な方は、店頭での洗浄をおすすめします。
店頭でできるプロのケア
ご自宅でのお手入れをしていても、半年〜1年に一度は店頭での点検をおすすめします。
- 業務用の超音波洗浄で、ご家庭では落としきれない汚れを確認できます
- チューブの劣化チェックと交換を、その場で行えます
- 補聴器本体の乾燥・点検で、湿気や汚れの影響を確認できます
- ハウリングや聞こえの変化が、汚れなのか調整なのか判断しやすくなります
立川補聴器センターでは、当店でご購入のお客様のメンテナンスはもちろん、他店でご購入の補聴器のお手入れ相談も承っております。「最近ぬめりが気になる」「ピーピー鳴るようになった」「チューブが硬くなってきた」など、小さなお困りごともお気軽にご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
- アルコール除菌シートでイヤモールドを拭いてもいいですか?
- 補聴器のイヤモールドの清拭には、補聴器メーカーが販売している専用のクリーニングシートを使うのが最も安心です。市販のアルコール除菌シート(手指・テーブル用)は、アルコール濃度が高くプラスチックの劣化やひび割れの原因になることがあるため、補聴器への使用は避けてください。
- 耳の感染症があるときも装用していいですか?
- 補聴器の装用は、外耳道炎などの耳の感染症があるあいだは中止してください。英国NHSのケンブリッジ大学病院のリーフレットでも、感染症があるときはイヤモールドを装用せず、治療を優先するよう案内されています。耳鼻科を受診しお医者様のご指導を仰ぎましょう。
- イヤモールドが黄色く変色してきました。交換が必要ですか?
- イヤモールドの変色は、シリコン製の素材で経年とともに起こりやすい現象です。色が変わっただけであれば使用を続けて問題ありませんが、表面のべたつきや独特のにおいが取れない場合は、イヤモールドの再製作をご検討ください。チューブだけが黄ばんで硬くなっている場合は、チューブを交換します。
- 補聴器を着けたままお風呂やプールに入ってもいいですか?
- 補聴器は、お風呂・プール・サウナに入るときは必ず外してください。防水仕様の機種であっても、温泉の水質やプールの塩素、サウナの高温は故障の原因になります。汗をかきやすい場面では、こまめに外して乾いた布で拭く習慣をつけると安心です。
- 超音波洗浄機は補聴器本体に使えますか?
- 超音波洗浄機に入れていいのは、補聴器本体から取り外したBTE用イヤモールド単体だけです。補聴器本体やRIC型のレシーバーなど、電子部品が入っている部分は超音波洗浄機に入れると故障します。ご自宅で超音波洗浄機を使う際は、必ずイヤモールドを本体から外してから行ってください。
- 夏場に特に気をつけることはありますか?
- 補聴器のイヤモールドは、夏場は汗と皮脂で雑菌が繁殖しやすく、ぬめりやにおいが出やすくなります。週1回のイヤモールド洗浄を週2回に増やし、毎晩の乾燥ケース保管を欠かさないことで、夏特有のトラブルを大きく減らせます。汗を多くかいた日は、その日のうちに乾いた布で拭いておくのがおすすめです。

この記事は、店頭でのメンテナンス経験に加えて、海外の公的医療機関やメーカーが公開しているイヤモールドのお手入れ情報を参考に整理しています。
まとめ
今回は補聴器に使うイヤモールドのお手入れ方法を海外サイトの情報をソースにしてまとめました。(自店でも同じ洗浄を行い撮影しました)BTE補聴器のイヤモールドは、正しく外して、正しく洗い、しっかり乾かすことが大切です。
- 毎日:乾いた布で拭く、ブラシで払う、乾燥ケースに入れる
- 週1回の目安:イヤモールドだけを外して、ぬるま湯と中性洗剤で洗う
- 洗浄後:エアブロアーでチューブ内の水分を抜き、完全に乾かす
- 注意:補聴器本体、RIC型レシーバー、充電器は水洗いしない
- 点検:チューブの黄ばみ・硬化・ゆるみがあれば早めに相談する

暑くなる季節は、汗や湿気でイヤモールドのトラブルが増えやすくなります。少しの手間で、聞こえと装用感はかなり変わります。
「洗っていいのか分からない」「チューブの水が抜けない」「最近においが気になる」という方は、無理に自己判断せず、立川補聴器センターまでご相談ください。
この記事が気になったら
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