こんにちは、立川補聴器センターです。
過去当店が書いた「固定電話の音声を補聴器に直接入力する方法」の記事についてかなりのお問合せをいただきました。今回はそのアップデート版かつフォナックの補聴器に縛られない汎用性の高い内容をお届けいたします。
耳かけ型補聴器は固定電話が聞きにくい
耳かけ型補聴器は、お耳にかかっている本体に内蔵されたマイクで音を集音するため、電話の受話口をお耳(耳介)に当てても電話音声が補聴器を経由して補聴されません。
電話をお耳に当てても音声が補聴器を経由して入ってこない
耳かけ型補聴器の場合、お耳の上にあるマイクめがけて受話口を当てる必要があります。これが結構難しい。。。充てる位置によっては補聴器が全く集音できないことも。。。とっさに電話を受けると当てる位置に戸惑ってしまい、「●●と申します。」とお相手が名乗った時聞き逃してしまうことが発生すると思います。
固定電話もハンズフリーできればいいのに
色々調べてみると固定電話をイヤホンとマイクに変換するアダプターが色々発売されていました。
耳あな型補聴器ユーザー様はこういったヘッドセットを補聴器の上に当ててご利用いただけると思いますが、昨今補聴器の主流はやはりRICタイプの耳かけ型。RICタイプでこのヘッドセットを使用するのはちょっと難しいと思います。また、職場の電話にこういった外部機器を増設するのはセキュリティー云々の問題で使用NGとなる可能性がありますのでもっと手軽に電話を聞ける方法を模索しました。
ビジネスフォンから音声を取り出す方法を考える
自宅の電話と違いビジネスフォンは内線通話などができるようになっているため電話線(モジュラージャック)を抜いて音声を取り出すことは困難です。(手軽さが今回の目標です)そのため、受話器と電話本体をつなぐらせん状のケーブル(カールコード)をつなぎ変えて音声を取り出します。
検証する内容(絵が下手ですいません)
私は過去電話屋さんに勤めていましたが、モバイルのほうなのでビジネスフォンについては素人です。下記のサイトを参考にさせていただきました。
必要なパーツをネットで注文
今回下記のパーツを使用します。費用をあまりかけず手軽に揃えられることをコンセプトに検証しましたので、紹介するパーツはすべてアマゾンやヤフーショッピングで購入できます。
GENETIVEさん GT575T
固定電話のカールコードを外し間に割り込みさせることでヘッドセットを使用して電話ができるようにするアダプターです。アンプ機能やノイズキャンセル機能を搭載し電話の音声をクリアーにします。
ヤフーショッピング
GENETIVEさん 電話ヘッドセット用変換ケーブルTEL35SM
GT575Tに市販のヘッドセットを接続する変換ケーブルです。マイク、ヘッドフォン共に3.5㎜のミニジャックで接続します。
ヤフーショッピング
自立コムさん Mリンク
M-リンクは、T-コイル内蔵の耳かけ式、耳穴式を問わず使用できる汎用型磁気誘導コイルです。TEL35SMに接続し、補聴器へTコイルモードにして補聴器へ音声を入力します。
自立コムさん公式サイト
エレコムさん パソコンマイク クリップ付
TEL35SMに接続するマイクです。電話側からヘッドセットとして出力するためマイクとヘッドフォンが必要です。ヘッドフォンは補聴器+Mリンクを使用し、マイクは市販のPC用マイクを使います。
Aamazon.co.jp
以上4点をネットで注文しました。
固定電話機と接続
お店にあるテスト用の固定電話機(シャープ製)を使って検証します。電話機のカールケーブルを外しGT575Tの入力部分に接続、電話機へ戻すケーブルを電話機に接続します。切ったり半田付けする必要は一切なく電話機のケーブルを抜いて挿すだけなので会社の電話機でも同様のことができると思います。
GT575Tの電源はミニUSBを使用しています。GT575Tには電話録音機能などがありPCと接続も可能です。会社のに接続するとセキュリティーの問題が発生するので市販のAC100V⇒USB変換を使用することをおすすめいたします。
Mリンク・マイクを接続
GT575TにTEL35SMを接続し3.5㎜イヤホン・マイク端子に変換します。イヤホン端子にMリンク・マイク端子にエレコムのマイクを接続し準備完了です。
補聴器屋さんにTコイルプログラムの追加を依頼
耳かけ型補聴器には、Tコイルという外部から音声を入力する機能がついています。これはあらかじめ補聴器に設定をしておかないと機能しません。補聴器を購入したお店様に依頼し、Tコイルのプログラム(Tコイルを使えるモード)を新たに設定してもらいましょう。
RICタイプの補聴器にはTコイルを搭載していない補聴器があります。Tコイルを搭載していない補聴器をご利用の場合、今回ご紹介する機器をご利用いただけません。
Tコイルを搭載していない補聴器 代表例
・シグニア スタイレット
・リサウンド クアトロのRICタイプ(RIE)
・フォナック オーデオの品番「T」がつかない器種
・オーティコン ミニRITEの「T・R」がつかない器種
Mリンクをお耳にかけて準備OK
補聴器購入店でTコイル搭載の有無を確認、その後パーツを購入、ちょっとした配線、これが完了したらおうちの電話でテストしてみましょう。固定電話が無い方は、会社の電話で音声がちゃんと聞こえるかテストしてからお仕事の電話をしてください。(天気予報や内線電話でテスト)
Mリンクをお耳にかけたらプログラム変更ボタン(プログラムスイッチ)でTコイルプログラムに変更が必要です。電話をかけるたびにTコイルプログラムに切り替えするのがちょっと面倒です。もしMFI対応の補聴器(オーティコン オープンプレイ2やオープン1・2・3など)をお持ちで社内にスマホ持ち込みがOKの場合、アプリで切り替えできるように設定しておくと便利です。
接続・設定まとめ
当店でテストしたときは下記の写真のような感じになりました。
出来れば100均や無印・IKEAなどで小物入れを買ってきて配線止めを利用してキレイに箱の中へまとめることをおすすめいたします。グチャグチャだといざ電話のときに慌ててしまいます。また、Mリンクのケーブルは断線しやすいとのレビューをみました(自立コムさんの公式HPにも記載してあります)デリケートな商品のようなので、配線止めを使ってケーブルに力が加わらないように工夫しましょう。
店頭でいただいたお客様からの質問集
店頭でこちらのシステムをテストいただいたお客様からの質問をまとめました。
他の方が電話に出る際、すぐに元に戻せますか?
GT575Tの横にあるスイッチで簡単に戻せます
マイクを一時的に切りたいのですができますか?
マイクミュートボタンを押せばOKです
bluetoothでワイヤレスにしたいのですが
現在テスト中です
マイク・イヤフォンの音声をヘッドセットプロファイルで送信できるアダプターを探していますが見つかりませんでした。アマゾン・ヤフーショッピング・楽天など様々なサイトを見ましたが見つかりません。中国のアリエクスプレスでトランシーバーをbluetooth化するアダプターを発見したのでこれでいけそうな気がしますが、「技適マーク」なしの商品なので日本国内で使うのはかなりグレー(ブラック)な感じです。
Jabra(ジャブラ)、プラントロニクスというヘッドセット専門メーカーから固定電話をbluetooth化するアダプターが発売されていますが自社以外のヘッドセットとはペアリング出来ないと伺いました(プラントロニクスに確認)。かなり高価な製品なので買って試すはちょっと出来ませんでした。
以上が現在店頭でいただいたご質問です。
※GENETIVEさんの商品画像はすべて使用許可をいただいております。
まとめ
今回は固定電話の音声を補聴器に直接入力する方法をご紹介致しました。耳かけ型補聴器をご使用で固定電話にお困りの方からを多数いただいております。補聴器メーカー営業担当さんに何か良い解決策がないか聞いてみましたが、どのメーカーさんも具体的な解決策をご提案いただけませんでした。
苦言を申し上げるようですが、このような固定電話を補聴器に送信できるシステムを補聴器メーカーさんがなぜお作りにならないのか不思議です。立川市に「ミミー電子さん」という補聴器メーカーさんがありますが、こちらではポケット型補聴器を使ってTコイル経由で電話を聞きやすくするアダプターを販売されています。大手メーカーさんなら容易に作れそうな気がしますが、このような商品が補聴器メーカーからリリースされていないのが非常に残念です。
補聴器メーカーさん!固定電話をbluetoothで送信できるアダプターの検討してください!
以上で今回の記事は終わりです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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