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今回は、2025年11月発売の「リサウンド エンツォIA」についてその革新的な技術と、これまでのリサウンド社製重度難聴用補聴器の違いをわかりやすくご紹介致します。


この記事で紹介する内容
- 補聴器本体の形状
- 従来のエンツォからの変更点
- 補聴器の出力
- Auracast/LE Audioなど外部接続
- エンツォIAのラインナップ
この5点に絞ってエンツォIAを深堀していきたいと思います。
従来のリサウンド/ハイパワー補聴器からの変更点
リサウンドのエンツォとは、重度の方向け補聴器の名称です。エンツォは2015年に初めて発売されたiPhoneとBluetooth接続できる補聴器としてリリースされました。その後、エンツォ、スクエア、エンツォ・3D、エンツォクアトロと順当進化を遂げていましたが、クアトロでしばらく更新が止まっていました。今回、満を持してエンツォIAが登場します!
歴代のエンツォ

リサウンドのエンツォの歴史を振り返ってみましょう。
初代エンツォ 2015年
→世界初ハイパワー補聴器にiOSと接続できるBluetoothを搭載した補聴器(MFI補聴器)
2代目 エンツォ・スクエア 2016年
→初代エンツォがマイナーチェンジ
3代目 エンツォ・3D 2018年
→世界初、遠隔で補聴器を調整する遠隔サポートを搭載
4代目 エンツォ・クアトロ 2020年
→世界初、AndroidとペアリングできるASHAを搭載、マイクの最大入力音圧が上がり音質が向上
派生モデル 総合支援法専用モデル「ダナロジック・アンビオ」
エンツォには、障がい者手帳をお持ちの方専用の補聴器、エンツォの派生モデル「ダナロジック・アンビオ」も存在します。これは、エンツォの最上級モデルからスマホの音声ストリーミングを外した補聴器になっています。エンツォ・アンビオともに筐体は同じものを使用しています。
過去の参考記事
エンツォIAの変更点
前置きが長くなりましたが、エンツォIAの変更点をチェックしていきます。筐体の変更点は大きくわけて3項目。
- フックが強固になった
- マイクカバーを自分で交換できる
- 充電式になった
フックの変更
エンツォ・アンビオ補聴器を使用している方からご指摘を受けていたフックの強度問題、これが改善されました。

今までのエンツォはねじ式のフックを採用していました。フックが劣化してくるとプラプラしてしまうので定期交換が必要でした。これがエンツォIAになり一新!

差し込み式のフックになり、フック自身は樹脂から金属に変更、より強固なフックに変更されました。これはGood!
マイクカバーの変更
エンツォに限らずどこのメーカーの補聴器もマイクを保護するためにカバーがついています。このカバーはメーカーしか交換できない仕様になっているのが通常でしたが、エンツォIAは自分やお店で交換できる脱着式のマイクカバーを採用しました。

この画像は従来型のエンツォのマイク部分、縦に並んだ穴2個がマイクになっています。カバーを交換するときは、メーカーに修理に出して交換してもらう必要がありました。

エンツォIAのマイクは丸い部分、ここを専用パーツを使って交換することができるようになりました。最近、リサウンドのこだわりとしてマイクカバーを自分で交換できる使用にするようにしているそうです。


耳あな型補聴器についている白い耳あかフィルターと同じ方法で簡単にマイクフィルターを交換できます。これはとても良い改良点ですね!夏場、汗や皮脂がマイクに堆積してしまい聞こえが悪くなることがあります。ささっと交換して簡単にリフレッシュできます。
充電式補聴器に全モデル変更
今までのエンツォシリーズは、PR44(675)の電池を使う補聴器でしたが、エンツォIAからは全モデル充電式に変更(今後電池も追加される可能性はありますが、2025年11月現在情報なし)

充電器は、それ自体にバッテリーを内蔵しない据え置き型を採用しています。

フルサイズと言われるお耳全体を覆うイヤモールドを取り付けして、充電器に乗せてみました。イヤモールドが極端に干渉することなく、充電器に搭載できました。

充電ポートは一般的なUSB タイプCを採用、ヨーロッパはタイプC法案があるのでタイプC統一は当然の流れですよね。
真上から

真横から

電池式?充電式?メリット、デメリット
😊メリット
- 汗、湿気に強い(電池開閉蓋がないため)
- 電池のさびの問題が起きにくい
😥デメリット
- 即座に電池交換できない(充電が必要)
- 旅行の時、充電器を持っていく必要がある
ハイパワー補聴器のラインナップはほぼ電池式なので、汗・さびの問題はどうしても起きてしまいます。汗さび問題は封入式のバッテリーなので起きにくいですが、即座に電池交換できないデメリットがあります。これは悩みどころです。皆様はどう思いますか??
LE Audio/Auracastなど外部接続

リサウンドの補聴器といえば、LE AudioとAuracastを世界初で搭載した補聴器としてじわじわと浸透しています。詳しくは下記リンクをご参照ください。
LE Audio/Auracastとは?
あまり難しく考える必要はありません。今までBluetoothを使って補聴器とiPhoneやスマホと接続して音楽や電話を聞いていたと思います。そのNewバージョンがLE AudioとAuracastです。

LE Audio
2015年に初めて補聴器とiPhoneがBluetoothで繋がり音声を補聴器で直接聞くことができるようになりました。補聴器に搭載できるBluetoothの新しい規格がLE Audioです。詳しい仕組みは覚えなくてOK、特徴は4つです。
- 高音質:ストリーミングの音質が今までとは別モノ!
- 低遅延:音声が遅れて補聴器に届く遅延を抑制!
- 省電力:補聴器をBluetooth接続したときの電池消費を抑制!
- 飛距離:送信機から約30mほど離れても受信が可能!
音質は当店ブログで詳しく解説しています。
Auracast

新しいBluetoothは、音質向上・音声が遅れて届く遅延が減り、電池消耗を抑える新規格に置き換わりつつあります。このLE Audioの新しい機能がAuracast。今までは1対1でBluetooth接続していましたが、Auracastを搭載した補聴器は、1対複数で音声を共有できます。
Auracastも別記事で詳しく解説しています。
エンツォIAはBluetoothを多数搭載
エンツォIAは、上記で紹介したLE Audio、それを共有するAuracast、そして従来からあるiOSと接続できるMFIヒアリングデバイス、そしてAndroidとも接続できるASHA(アーシャと呼びます)、これらすべてを搭載しています。

| LE Audio | |
| Auracast | |
| MFI(iOSと接続) | |
| ASHA(Androidと接続) | |
| クラッシック(高遅延・高電力) |
フォナックの補聴器はBluetoothクラッシックというなんでも接続できるBluetoothを搭載しており接続性は非常に豊になっていますが、遅延が大きくバッテリーへの負荷も大きい通信規格なのでフォナック以外はこの規格を避ける方向にあります。
磁気ループ(テレコイル)にも対応

エンツォ IAは、Bluetooth接続に加えて「磁気ループ(テレコイル)」にも対応しています。
磁気ループとは、会議室や講演会場、劇場などに設置された“磁界を使った音声伝達システム”のことです。
音声信号を磁界として空間に流し、補聴器のテレコイル(Tコイル)がそれを直接受信することで、周囲の雑音を抑えながら講演者の声だけをクリアに聞くことができます。
エンツォ IAは、この磁気ループ受信機能を本体に内蔵しているため、セミナー・会議室・市役所などTマークのある施設でも、そのまま切り替えて利用できます。
出力について
💡 出力とゲインの基本
- OSPL 90:入力90 dB SPL時の最大出力。補聴器の「パワーの上限」を示します。
- FOG (Full-On Gain):最大出力設定時の増幅量。どれだけ音を持ち上げられるかを示します。
🔊 各社スーパーパワー補聴器 出力・ゲイン比較
| 電池 | 最大出力 (OSPL90) | HFA-OSPL90 | フルオングイン (FOG Peak) | 総合支援法 対応 | |
|---|---|---|---|---|---|
| リサウンド エンツォIA | 充電式 | 140dB SPL | 131 dB SPL | 84 dB | |
| シグニア ストレッタアヤUP | PR44(675) | 140dB SPL | 132 dB SPL | 82 dB | |
| オーティコン エクシードUP | PR44(675) | 146dB SPL | 138 dB SPL | 87 dB | |
| フォナック ナイーダL | PR44(675) | 139 dB SPL | 130 dB SPL | 79 dB | |
| リサウンド アンビオAM698 | PR44(675) | 138 dB SPL | 130 dB SPL | 78 dB |
🔋 充電式でも“電池式と同等”のパワー
リサウンド エンツォ IAは充電式でありながらOSPL 90 = 140 dB SPL、FOG = 84 dBを実現。これは、シグニア ストレッタ アヤ UP(140 dB SPL)やフォナック ナイーダ UP(139 dB SPL)と同等クラスの出力性能です。
従来は675電池の高電圧駆動が必要とされた超パワー帯を、GN社は高電流リチウムイオンセルと効率的なアンプ設計で実現しました。その結果、出力を犠牲にせず24時間以上の連続駆動が可能となり、「充電式はパワー不足」というイメージを完全に払拭しています。
参考資料
各メーカーの高出力補聴器のテクニカルデータシートを抜粋して掲載致します。
エンツォIA(メタルフックを使用)


シグニア ストレッタ アヤ

シグニアは、利得をみる場合、グレーのラインの数値-50で計算しています。
オーティコン エクシードUP


フォナック ナイーダL-UP(ダンパーなしフック)


リサウンド アンビオ AM598


※各社の測定条件差により実機体感は変わる場合があります
✍️ パワーのまとめ

充電式でも、もうパワー不足とは言わせない。リサウンド エンツォ IAは、最大出力140 dB SPL・HFA 131 dB SPLを誇る充電式超パワーモデル。シグニア ストレッタ アヤ UPやフォナック ナイーダ UPに匹敵する性能で、LE Audio/Auracast™にも対応。省電力な通信を行うので電池の負荷低減、飛距離もあります。電池交換の手間なく、毎日フルパワーで安心して使える新時代の補聴器です。
まとめ
今回は、リサウンドから2025年11月に発売されたハイパワー充電式補聴器「エンツォIA」の速報をお届けいたしました。このエンツォIAは充電式ですが、フォナック・シグニアのハイパワー補聴器に引けをとらない出力を持っており、コネクティビティが豊富な補聴器に仕上がっています。
選択肢として考えるなら
LE Audio/Auracast対応のハイパワー補聴器は現在、このエンツォIAのみとなっています。「Auracastはまだまだ」とお考えかもしれませんが、2025年夏ごろより急速にイベントで紹介されています。
下記のことをお考えの方、エンツォIAを検討してみてはいかがでしょうか。
- Auracastをいち早く導入したい
- Auracastを使ったイベントに参加したい、イベントでAuracastを体験したい
- スマホ、テレビ、PC、タブレットなど多数の機器を補聴器で聞きたい
- 補聴器の修理回数を減らすため充電式にしたい
- マイクカバーなど定期的に自分でメンテしたい
つまりBluetoothの接続性と補聴器の修理について、エンツォIAは非常にアドバンテージを持った補聴器なのでそこに価値を感じる方は購入の対象になるかもしれません。
以上、今回はリサウンドのエンツォIAについてまとめてみました。最後まで読んでいただきありがとうございました。

当店では、約1か月の補聴器無料試聴を行っております。また、Auracastの導入相談も承っておりますのでお気軽にご相談ください。Auracast送信機は多数お店にありますので、店内でもご体験いただけます。
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